Vol.11, 2009 Supplement RSNA 2008
Top Story
RSNA 2008 DIGEST
Perspective
教育と学習の制度・システム改革で描く放射線科の将来像
"Personal Learning in the Global Community"—自己主導的かつ他者との協調による生涯学習のすすめ
RSNA 2008のキャッチフレーズは,“Personal Learning in the Global Community”という,教育プログラムに重きを置くRSNAらしい内容であった.これに基づき,開会宣言となるPresident’s Addressでは,研究実施教育(research training)の重視,放射線医学教育の国際的な標準化などの将来の教育制度への提言がなされ,基調講演となるOpening Sessionでは生涯学習の意識改革やシミュレーションに代表される教育システムのデジタル化等のテーマについて語られた.世界屈指の国際放射線学会として,教育と学習の制度・システム改革に取り組むRSNAの2008年度年次学術集会の概要を報告する.
RSNA 2008 News Room
注目の口演ハイライトニュース
MRIが若年体操選手における新しいタイプの上肢障害を明らかにする / 患者に対する読影医の共感度を増す工夫 / PEMは乳癌検出に有効である / 高分解能ガンマカメラを用いたイメージングによる乳腺画像診断技術
「最近目にする障害発症のパターンはこれまでのものとは異なっており,若年体操選手に違った形で影響を及ぼすような,何か新しい訓練方法がとられているのではないかと推察される」とCalifornia大学San Diego校のJerry Dwekらは述べている.青少年期にある体操選手の骨の成長部位にさまざまな障害が発生することはこれまでにも知られていたが,MRIにより若年期の骨および軟部組織に生じた障害を検出しようとするこの研究では手首や指関節の骨にこれまで記載されなかったたぐいの障害が発症していることが明らかにされた.さらに研究者たちは,体操選手たちの指関節の骨に壊死あるいは早期壊死状態を認めることに気付いた.
RSNA 2008 Highlighted Session
乳腺画像診断におけるPET,MR,CTの有用性
低侵襲モダリティ開発により広がる検査の選択肢
Department of Radiology, The University of Chicago, Chicago, Illinois, USA
阿部 裕之
はじめに
ここ数年,乳腺画像診断の分野における新しい診断機器の開発,あるいはすでにある診断機器による新しい取組みには目覚ましいものがある.画像診断分野における世界最大の学術ミーティングであり,また,最大の診断機器展示ショーでもあるRSNAでは,毎年新しい診断機器やソフトウエアの紹介が技術展示会場で行われると同時にそれに関連する研究がScientific Sessionで発表されるといった形のコラボレーションが数多くある.RSNA 2008でも,乳腺専用PETスキャナ[PEM Flex Solo II(Naviscan社),Fig. 1]や乳腺専用ガンマカメライメージング(breast-specific gamma imaging:BSGI)に使用するガンマカメラ[Dilon 6800(Dilon Technologies社)]等が研究結果とともに展示されていた.ちなみにPEM(positron emission mammography)とBSGIの違いは,PEMがPETで
18F-FDG(fluorodeoxyglucose)を使用して断層画像を得るのに対し,BSGIではガンマカメラで
99mTcセスタミビを使用してプラナー画像を撮像する点である.また,このような乳腺画像診断分野におけるマルチモダリティ診断の傾向に対応して,RSNAではSpecial Focus Sessionといった専門家たちの口演を集めた特別なセッションを設け,その研究結果や動向を報告させている. 今回はSpecial Focus Session(SFN01),Advances in Breast Imaging: Impact of PET, MR Imaging, and CTの内容についてレポートする.
RSNA 2008 Featuring Report
PETおよびPET-CTの臨床応用の現況
腫瘍診断から分子イメージングへ
京都大学医学部附属病院 放射線診断科
中本 裕士
はじめに
2008年のRSNAは期間中を通じて寒い日が続き,最高気温は摂氏 5 度以下の,小雪の舞う毎日であった.米国人の核医学科医の多くが米国核医学会(Society of Nuclear Medicine:SNM)を目標学会に据え,欧州では欧州核医学会(European Association of Nuclear Medicine:EANM)が核医学においての代表的な学会に位置付けられるため,放射線科と核医学科の専門分化が進む欧米からの核医学分野の演題は,RSNAでは限定的である.そのためか,相対的に日本や韓国からの演題が目立つ.ここでは,PETまたはPET-CT検査に関するいくつかの演題について,臨床応用という見地から,簡単な解説および私見を交え紹介する.
Cutting-edge Topic of RSNA 2008
CTの放射線被曝と安全性
小児の被曝線量低減への確かな歩み
はじめに
RSNA最終日に行われるFriday Imaging Symposiumでは,例年最も重要かつ新しいテーマが議題に選ばれるが,今年のトピックは「CTの放射線被曝と安全性」であった.Cincinnati小児病院医療センターのLane F Donnellyをモデレータに,放射線被曝とその安全性におけるさまざまな分野の専門家 6 人がそれぞれ口演を行った.概要を報告する.
Technology Forum
TOSHIBA International Imaging Seminar in Chicago
320列ADCTによるダイナミックボリュームCTの可能性
注目されるAquilion ONEの広範囲パーフュージョン解析
University Clinic Charité, Humboldt University, Berlin, Germany
Patrik Rogalla
はじめに
今回は,Aquilion ONE 320列面検出器CT(area-detector CT:ADCT)がもつさまざまな可能性について,基本的な特徴や撮影法,そして実際の臨床画像を織り交ぜながら解説する.
新しい心臓CTの可能性
1 心拍 1 回転で心臓全体を撮影できるAquilion ONEのさらなるチャレンジ
University of Toronto, Toronto, Canada
Narinder Paul
冠動脈疾患と心臓CTの役割
心疾患は依然として多くの先進国で死因の第 1 位を占める重篤な疾患である.心疾患を専門とするチームの高度な医療や血栓溶解療法の発達,搬送システムの整備などといった近年の尽力にもかかわらず,米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)のデータによると,米国では2005年の死亡者数は65万人を超えており,男性の 3 分の 1 弱,女性の 3 分の 1以上が心疾患によって命を落としている.心疾患の診断手段には12誘導心電図,心エコー,負荷心エコー,心筋シンチグラム,カテーテル血管造影などさまざまなものがあり,早期に適切な診断を下せるかどうかに予後が大きく左右される.診断手段の改良もあって最近50年では心疾患による総死亡率はやや減少をみているが,15〜44歳の若年層の死亡率に着目してみると実はほとんど変化しておらず,これは危惧すべき問題であろう.若年層の死亡率に改善がみられない原因の 1 つに,何の前触れもなく冠動脈が閉塞してしまい突然死を来す例が多いという点が挙げられる.若年層の心疾患死亡原因の約70%を冠動脈疾患が占めていることを考えると,私は心臓CTが非常に重要な鍵を握っている「可能性」があるのではないか,と考えるのである.
乳腺超音波の最新情報
乳腺超音波でどこまで機能情報が得られるか
Radiological Ultrasound Research Laboratory, Charité University, Berlin, Germany
Thomas Fischer
はじめに
現在,乳腺領域に用いられている診断画像のうち大半を占めているのは「形態」評価画像である.形態評価画像でも最近では組織ハーモニックイメージングや空間・周波数コンパウンド法などの,より高質な画像が得られる技術が開発されてきているが,それでもやはりこれらは形態を評価する画像である.エラストグラフィや 超音波 4Dイメージング,部位特異的造影剤などの「機能」評価画像の開発はまだ途上であり,今後のさらなる研究が期待される.今回は最近の高質な形態評価画像と,開発が進みつつある機能評価画像の一部を紹介する.
乳腺MRIの最新情報
乳癌病変のスクリーニングから治療効果判定まで,期待される乳腺MRIの有用性
University of Texas Health Science Center at San Antonio, San Antonio, Texas, USA
Pamela M Otto
乳癌のスクリーニングの意義
乳癌死亡率を下げる最も効果的な方法は,病変がまだ小さく根治可能な段階で発見することであり,これこそがわれわれの目指すべき究極の目標である.乳癌病変を検出・精査する手段は多数あり,理学所見,マンモグラフィ,超音波,そしてMRI,PET,PET-CTと,これまで常に進化を続けてきた.マンモグラフィ単独でも乳癌の死亡率を減少させることに成功しているが,今回は最近の乳腺MRIの進歩について述べたいと思う.